天然石を扱っていると、よく聞かれることがあります。
「やっぱり、高い石のほうがいいんですか?」
同じ種類の石でも、数千円のものもあれば、数万円、数十万円するものもあります。
さらにグレードの高いもの、希少なものになると、驚くような価格になることもあります。
そうすると当然、
「高い石のほうが、パワーが強いのでは?」
「どうせ持つなら、グレードの高いものを選んだほうがいいのでは?」
と思いますよね。
これについては、私はかなりはっきりしています。
そんなことはありません。
値段が高いから、石として「上」というわけではありません。
石は石。値段と「効果」は別の話

天然石の価格は、さまざまな要素によって決まります。
産地、品質、大きさ、透明度、色、形、内包物、加工の難しさ。
そして何より、どれくらい市場に存在するのかという希少性があります。
ですから、「値段が10倍ならパワーも10倍」なんてことにはなりません。
1万円の水晶より10万円の水晶のほうが10倍すごい。
そんな単純な世界だったら、天然石選びはものすごく簡単です。
値札を見ればいいだけですから。
私は、石そのものに「いい・悪い」はないと思っています。
安いから悪い石でもない。
高いから優れた石でもない。
石は石です。
だから、「高いものを買わなければ意味がない」と考える必要はまったくありません。
でも、「似合う・似合わない」はある
ところが。
ここからが、天然石の面白いところです。
値段による「いい・悪い」はないと思っている一方で、私は石にはかなりはっきり、
「似合う・似合わない」がある
と感じています。
これは、長く石を扱っていると本当に不思議なくらいわかります。
服と少し似ています。
ものすごく高級な服なのに、なぜかその人が着ると服だけが浮いて見えることがあります。
反対に、かなり個性的な服なのに、その人が着ると、
「この人のために作ったのかな?」
と思うくらい自然に見えることもあります。
値段の問題ではありません。
その人と、そのものが馴染んでいるかどうかです。
天然石では、それがもっと顕著に出ることがあります。
高価な石なのに、「持たされている」ように見える

たとえば、とても大きくて、品質も高く、希少な天然石。
当然、値段も高くなります。
ところが人によっては、石を持った瞬間、
石に持たされている。
そんなふうに見えることがあります。
石の存在感ばかりが前に出て、本人が消えてしまう。
逆に、同じ石を別の人が持つと、不思議なくらい自然に収まることがあります。
高価な石を持っているのに、仰々しくない。
「ずっと前から持っていましたけど?」
くらいの顔をして馴染んでいる。
私はこの感覚を「波動が合う」と表現することがあります。
科学的な測定値としての話ではなく、その人と石を一緒に見たときに感じる調和や馴染み方のことです。
「高い石が似合う」ということ
ここで少し面白い話になります。
高い石だから価値の高い人、という意味ではありません。
もちろん、お金をたくさん持っているから似合うという意味でもありません。
でも、非常に希少で存在感のある石を持ったときに、それが妙に自然に見える人はいます。
私はそれを、
「この人にとって、この石を持っていることが不自然ではない」
という状態なのだと思っています。
石だけが目立たない。
本人も石に負けない。
無理をして身につけている感じもしない。
その人の世界の中に、その石が普通に存在できる。
だから私は、高価な石が「似合う」ということ自体には、値段とは別の面白さがあると思っています。
高い石ほど、「また今度」が難しくなる

そして、価格が高くなる石について、もうひとつ大切なことがあります。
希少性です。
高価な天然石には、単純に大きいから高いものもありますが、産出量が少ない、特徴が珍しい、品質の高いものがほとんど出ないなど、「同じものをもう一度探すことが難しい」という理由で価格が上がっているものもあります。
天然石は工業製品ではありません。
「これと同じものを、来月もうひとつお願いします」
と言っても、出てくるとは限りません。
むしろ一点物になるほど、
「今度また出会ったら」
が通用しなくなっていきます。
似た石には出会えても、同じ石には二度と出会えない。
ここが天然石の怖いところであり、面白いところでもあります。
石との出会いは、ちょっと恋愛に似ている
だから、珍しい石を目の前にして、
「ものすごく惹かれる」
ということが起きると、私は少し面白いことだと思っています。
世界中に天然石がある中で、その石がその場所にやってきた。
たまたま自分もそこにいた。
そして、数ある石の中から、なぜかそのひとつが気になった。
さらに持ってみると、不思議なくらい似合っている。
これは恋愛でいうなら、ちょっと「両想い」に近いのかもしれません。
もちろん、石に意思があって「あなたを選びました」と言っている、という話ではありません。
でも、
出会えたこと。
惹かれたこと。
そして、似合ったこと。
この3つが重なる確率を考えると、それはそれでなかなか面白い偶然です。
値段ではなく、「自分と石」を見る
だから私は、天然石を選ぶとき、値段だけで判断しなくていいと思っています。
高いから買う必要もありません。
安いから妥協ということでもありません。
まず、石を見る。
そして、その石を見ている自分を見る。
なぜか目が離せないのか。
持ったときに馴染むのか。
自分のそばにある姿が自然に想像できるのか。
そこを見てほしいと思います。
そして、もしそれが非常に希少な石だったなら。
少しだけ真剣に考えてみてもいいかもしれません。
「また今度」が、本当にあるとは限らないからです。
高い石が、いい石なのではありません。
自分に合う石が、その人にとっての「いい石」です。
ただ、その石がたまたま希少で、高価で、しかも自分にとてもよく似合ってしまったのなら―
それはちょっと、困りますね(笑)。
でも、そんな出会いまで含めて、天然石の面白さなのだと思います。


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