ライトニングクォーツ~雷に打たれて、それでも残った水晶

天然石

天然石には、整った形をしているから価値があるものだけではありません。

欠けている。
傷がある。
表面に不思議な跡が残っている。

普通の商品なら「きれいではない」と判断されそうな特徴が、天然石ではむしろ、その石にしかない魅力になることがあります。

今回ご紹介するライトニングクォーツは、その最たるものかもしれません。

名前の通り、「雷」と関係するとされる水晶です。

水晶に残された、雷のような痕跡

ライトニングクォーツとは、一般に、自然界で雷による非常に大きなエネルギーを受け、その痕跡を残したとされる水晶を指します。

今回の個体をよく見ると、先端付近から根元方向へ伸びる、独特な溝が確認できます。

単純に欠けたというよりも、表面が変化し、流れたようにも見える跡です。

先端にも独特な凹凸があります。

写真では立体的な質感までなかなか伝わらないのが残念なのですが、実物を角度を変えながら眺めていると、

「ここで何があったんだろう?」

と考えずにはいられません。

ただし、こうした外観だけから「この水晶には間違いなく雷が直撃した」と科学的に証明できるわけではありません。マグマによって溶けた可能性や、ほかにもなんらかの高温が加わったのかもしれません。

天然石の世界では、このような特徴を持ち、雷の影響を受けたとされる水晶が「ライトニングクォーツ」と呼ばれています。

その由来も含めて楽しむ、少し特殊な水晶です。

雷は、一瞬で世界を変える

ライトニングクォーツに与えられている象徴的な意味も、その名前を考えれば非常にわかりやすいものです。

覚醒。
変革。
突破。

雷という現象そのものが、それまで静かだった世界を一瞬で変えてしまいます。

空気が変わり、音が響き、暗い空が一瞬だけ明るくなる。

少し前までとは、まったく違う世界になります。

そのためライトニングクォーツは、停滞している状況を動かしたいときや、大きな変化を必要としているときの象徴として扱われています。

これもまた、

「そういう意味を後からつけました」

というより、

まあ、雷ならそうなりますよね。

と思ってしまうくらい、そのまんまです。

「変わりたい」と「変えられる」は、少し違う

ただ、ライトニングクォーツを眺めていると、「変化」という言葉について少し考えさせられます。

私たちはよく、

「変わりたい」

と言います。

でも実際の人生では、自分から望んで変わることばかりではありません。

予想していなかった出来事。

突然変わった環境。

人との出会いや別れ。

自分では選べなかった変化によって、それまでの状態を維持できなくなることもあります。

雷も同じです。

水晶が、

「そろそろ覚醒したいので、雷でもお願いします」

と言ったわけではありません。

突然、外から大きな力が加わった。

そして、その痕跡が残った。

それでも、水晶そのものはここにあります。

そう考えると、ライトニングクォーツが象徴する「変革」は、単純な「自分を変えよう」という意味だけではないように思えてきます。

変化したあと、どうするのか

今回の個体には、さらに面白い特徴があります。

雷の痕跡とされる部分の周辺に、虹(レインボー)が見られます。

水晶内部のクラックなどに光が当たることで、虹色の光が現れるものです。

もちろん、水晶が「雷に打たれたので前向きになって虹を出しました」ということではありません。

けれど、象徴として眺めてみると、これほど面白い組み合わせもありません。

大きな力を受けた痕跡がある。

そのすぐ近くに、光が入る。

そして虹が見える。

傷や変化がなければ、そこに光が入り込むこともなかったかもしれない。

そう考えると、

変化したことそのものより、そのあとに何が見えるようになったのか。

というところまで、この水晶は見せてくれているように感じます。

傷があるから、光が見える

レインボーが見られる水晶について、よく「希望」や「前向きな変化」といった意味が語られます。

私は、この意味も水晶の構造を見ると面白いと思っています。

虹は、何もない透明なところに突然浮かんでいるわけではありません。

内部のクラックや結晶構造などに光が干渉することで、私たちの目に虹色として見えることがあります。

つまり、

完全だから虹が見えるのではなく、変化したところに光が入ることで虹が見える。

今回のライトニングクォーツには、外側には大きなエネルギーを受けたとされる痕跡があり、その周辺には虹があります。

「傷ついたから素晴らしい」などと言うつもりはありません。

大変な出来事は、大変な出来事です。

無理に意味をつける必要もないと思っています。

でも、起きてしまった変化のあとに、今までとは違うものが見えることはある。

その象徴として眺めると、この個体の虹はとても印象的です。

雷に打たれても、水晶は水晶だった

ライトニングクォーツが象徴するとされる、

覚醒・変革・突破。

そこに今回の個体が持つ虹を加えるなら、私はもうひとつ、

「変化の、その先」

という意味を感じます。

大きな出来事があった。

以前と同じ状態ではなくなった。

跡も残っている。

でも、それで存在そのものが終わったわけではない。

むしろ、その変化によって、この個体にしかない姿になっています。

前回ご紹介したソウルメイトツインクォーツもそうですが、天然石をじっくり観察していると、「石の意味」を暗記するだけでは見えてこなかったものがあります。

形を見る。

傷を見る。

光を見る。

そして、

なぜ、この石にこんな意味が与えられたのだろう?

と考えてみる。

ライトニングクォーツを「覚醒の石」とだけ覚えるより、実際に残された痕跡を見た方が、ずっと意味がわかりやすい。

雷のような大きな変化を受けても、そこに存在している。

そして、その痕跡のそばに虹まで見える。

こんなの、ロマンを感じるなという方が無理です。

天然石は、きれいなものだけが面白いわけではありません。

何が起きたのかわからない痕跡まで含めて、その石を見てみる。

そこから想像できる長い時間も含めて、天然石の面白さなのだと思います。

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