夏休みが終わると、またいつもの生活に戻ってきます。台風で休みが延長されるかと思っていたのに、その期待も儚く散って、明日、学校に持って行く、たくさんの課題を入れたカバンとともに、なんだか気持ちを重たくさせます。夏休みはあんなに長かったのに、まだまだ休みがほしいって思うんです。
休み明けの学校は、少しほこりっぽいような、湿ったような、空気がよどんだ臭いがします。いつもより、少し張り切って早めに入った教室は、まだシーンとしていて「教室もお休みの期間だったんだ」って実感することができます。いつもは当たり前に使っているけれど、場所もモノも、お休みの期間は必要なんです。静かなひとりぼっちの教室で、大事に、大事に持ってきた重たい課題の入ったカバンを、机のうえにそっとおろすと、ようやく肩の荷が下りたって少しホッとすることができます。
だんだん廊下が騒がしくなって、いつもの活気が戻ってくると、教室の空気も少しピリッとして、緊張感が出てきます。みんな、しばらく会わないうちに、ずいぶん雰囲気が変わっていて、話しかけるのも緊張して、なんだかカタくなってしまうんです。いつの間にか、誰とはなしに、会話がはじまって、わたしもその空気のなかで、楽しくお話していることに気がつきます。まわりのみんなは成長できてうらやましいって思っていたけど、そんなみんなと、わたしも話ができるくらいには成長していたみたい。自分のことはよく見えないけれど、みんなからみれば、わたしもちゃんと成長していて、少し、雰囲気も変わったらしい。
休みのあいだは、旅行にもいかなかったし、ほとんど家でゴロゴロしていただけなのに。宿題もギリギリになって、なんとか間に合わせただけなのに、それでも、休み明けにはみんなとまた楽しく、仲良くお話することができている。そっか、わたしも、ちゃんと成長しているんだな。がんばらなくても、毎日が、わたしのために回っている。この一日一日が、わたしの未来を創っていく。
『Secrets of the Ancestors Oracle』 by Abiola Abrams
陰陽五行による解説
ほっといても育つ力のことを、陰陽五行では「土」に象徴させます。なんにもしていないつもりでもこの肉体のエネルギーはちゃんと成長を促してくれるし、ここにいるだけで日々成長しているのです。
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