なにかがいったん終わっても、ちゃんと次に続いていきます。
夏の終わりになると、夕方に涼しい風が吹いて、なんだか物悲しい雰囲気を感じます。あれだけやかましかったせみも、どこかにいってしまった。せみの声が聞こえないから、誰かが残した空き缶の、転がる音が遠くで響くのが聞こえたりします。ふと、寂しい気持ちになったり、懐かしい歌を思い出したりするのかもしれません。
わたしが思い出すのは、閉園の準備をしている遊園地。人気のないアトラクションから、もう鎖をかけて、動かすひともいなくなります。ずっとひとがならんでいた小さなジェットコースターも、昼間の行列は嘘のように、静かに「ゴォー」っと走り抜け、今日の最後の乗客の小さな悲鳴が聞こえます。夕日の、オレンジの光のなかで、売店の電気が煌々として、別に買うものはないけれど、あそこを一通り見たいって思うんです。そうしているうちに、カラスの泣き声が響いて、そして、遊園地のアナウンスが閉園を告げます。
帽子で蒸れたわたしの頭に、涼しい風が吹き抜けて、昼間の汗が嘘のように、爽やかな気分になっていきます。遊園地の出口の、重たい鉄の扉をくぐったら、いつもの現実に引き戻されてしまうから、その爽やかな感覚を、この出口までの短いあいだに、しっかりと感じていたいと思うんです。それを知ってか知らずか、風はわたしが思った通りに、思った通りのタイミングで、強く吹いて、わたしの英気を養います。
また明日からも、がんばろう!
『The Green Witch’s Oracle Deck』 by Arin Murphy-Hiscock
陰陽五行による解説
「夏の終わり」をテーマに「次に向かうための英気を養う」スクリプトを書いてみました。この文章は読むだけで、なんとなくすっきりすると思っていただけると幸いです。
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