小学2年生のときに「人の振り見て我が振り直せ」という言葉を教わりました。その時は、意味をよくわからないけれど、なんとなく「他人が怒られているのを見たら、同じようにならないように気をつける」というくらいに思っていました。そして、それを習ったことを家で祖母に言って以来、なにかにつけては「人の振り見て!」と言われるようになったのです。
この言葉は、本来「他人の言動を観察し、良いところは真似て、悪いところは自分の言動を反省し、改めるべき点を直すように」という意味のことわざです。でも、わたしが言われてきたのは後半の「悪いところを改める」というところだけ。本来は、他人の「良いところ」と「悪いところ」の両方から学べることがあると言っているのに、「悪いところ」にだけ目を向けると教わってきたわけです。そりゃあ、他人に厳しくなるし、自分のオリジナル行動なんて怖くてできなくなっていきます。だから、わたしは自分で考えるのが苦手で、他人が失敗するのを見てからにしたほうがいいって思っていたんです。
大切なのは、こういう内面の動きに気がつくこと。「人の振り見て」も、他人の行動をよく観察して、それを自分に落とし込んだとき、自分のなかでどういうことを思うかが重要なのです。他人の失敗を笑ったり、批判したり、単に真似るだけじゃあないんです。そうすることで、本当に相手のことをリスペクトして、そして、そこから成長することができます。
『The Time Traveler’s Oracle』 by Denise Linn
陰陽五行による解説
「人の振り見て」は「自分」と「他人」の「線引き」をしながらも、そこから「気づき」を得るということをいいます。そのため、陰陽五行では「金の触媒」そのものといえます。自分と相手の「線引き」があるからこそ、「自分」がわかり、本来の「自分」に気がついていくわけです。

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