「ルノルマンカード」という名前を聞くと、ルノルマンという人物が作ったカードなのだろう、と思う方も多いかもしれません。
ところが、その歴史をたどってみると、少し意外なことがわかります。
現在使われている36枚のルノルマンカードを、マドモワゼル・ルノルマン本人が作ったわけではありません。
「ルノルマン」とは人の名前
ルノルマンカードの名前の由来となったのは、18世紀から19世紀のフランスで活躍した占い師、マリー・アンヌ・アデレード・ルノルマンです。
1772年にフランスで生まれ、のちにパリで占い師として活躍した人物で、当時の貴族や政治家など、さまざまな人が彼女のもとを訪れたと伝えられています。
ナポレオンの皇后ジョゼフィーヌとの関係でも、よく名前が知られています。
ただし、彼女が使っていたのは、現在私たちが「ルノルマンカード」と呼んでいる36枚のカードではありません。
カードだけでなく、手相や夢など、さまざまな象徴を読み解いていたとされています。
つまり、「36枚のカードを使う占い師」というよりも、目の前に現れるさまざまなものから情報を読み取っていた人、と考えたほうが近いのかもしれません。
ルノルマンカードの原型は「ゲーム」だった
さらに面白いのが、現在のルノルマンカードにつながる原型です。
そのひとつとされているのが、1799年頃にドイツで作られた『Das Spiel der Hoffnung(希望のゲーム)』。
名前の通り、もともとはゲームとして作られたものでした。
そして後の時代になって、「占いにも使える」ということで、著名な占い師だったルノルマンの名前が冠され、現在知られている36枚構成の「プチ・ルノルマン」へとつながっていきます。
つまり、
「有名な占い師ルノルマンが、自分の占いのために36枚のカードを作った」
という単純な歴史ではないのです。
占い道具の歴史は、意外とそんなもの
これはルノルマンに限った話ではありません。
タロットも、最初から現在のような占いカードとして誕生したわけではありません。
今では神秘的なイメージを持つものでも、歴史をさかのぼってみると、ゲームや娯楽など、思いがけないところから始まっていることがあります。
私は、こういう歴史を知るのが結構好きです。
占いというと、どうしても「古代から伝わる神秘の……」という説明のほうが魅力的に見えることがあります。
でも、実際の歴史のほうが、むしろ面白い。
人が作ったものが、人に使われ、時代の中で意味を与えられ、いつの間にかひとつの文化になっていく。
ルノルマンカードも、そうやって育ってきたもののひとつです。
名前の由来を知ると、カードの見え方も変わる
そして私は、ルノルマンという人物そのものにも興味を惹かれます。
彼女はカードだけを見るのではなく、手相や夢なども扱っていたとされています。
ひとつの方法だけに閉じこもらず、目の前に現れたものから何かを読み取る。
そう考えると、「ルノルマンカード」という名前の奥には、36枚のカードだけでは収まりきらない世界があるようにも感じます。
カードの意味を知ることももちろん面白い。
でも、そのカードがどこから来たのかを知ってみると、いつも使っている一枚が、また少し違って見えてくるかもしれません。


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